食べ物、恐怖、凍る!
人様のお家におじゃまして、夕食でもごちそうになろうかというとき、
嫌いなものが出てくるとなんとも申し訳ないような、居心地の悪さがあるね。
アレルギーがあるものは仕方がないから「参りました」できるけど、
我慢すれば食べられないことはない、という場合は大変です。
我慢すれば食べられるのか?
人様のお家で饗された、そんなおごちそうの体験談3話連続でどうぞ。
●
第1話「Y家のコーヒー」
僕の幼なじみで腐れ縁の友人にYってヤツがいる。
彼の家に遊びに行くと、きまってお婆ちゃんがお菓子やらラーメンやらをごちそうしてくれた。
高校生になるとコーヒーが出てくるようになった。
僕らも<大人>として認めてもらえたんだろうか。
砂糖が2袋も添えてあるあたり、まだまだ子ども扱いなのか。
僕は辛党なんだけど、インスタントのコーヒーには砂糖が欠かせない。
だから、その時も一袋の砂糖を入れた。
一口飲んだ。口が曲がるほど、べらぼーーーーに甘かった。
Y「うちの婆ちゃん、コーヒーにはあらかじめ2袋ぶんくらい砂糖入れてあるけん」
僕「さ、さきに言ってくれ」
その出来事以来、味見をせずに砂糖や薬味をふりかけるヤツは信用しないことにした。
●
第2話「T家のコーヒー」
大学時代に仲の良かったテっつぁんの話。
彼の自宅に始めて遊びに行ったとき、お母さんが入れてくれたコーヒー。
砂糖瓶のフタを開けたら黒いので、洒落た黒砂糖だとおもったら、
アリ。無数の。
テっつぁんと僕は凍りついたんだけど、そこは親子。
彼はその中にスプーンを突っ込んで、一杯をすくい取った。
T「ふっー、ふーっ」
少しだけアリは飛んでいった。が、彼のコーヒーの水面で無数のアリが、
溺れていた。
T「飲めないことはない」
僕は文化の違いを少しだけ感じた。
●
第3話「K太郎家の茶そば」
僕は大学時代、4件週8回の家庭教師を持っていた。
K太郎の家はいちばん長くて3年も続けた。
やっぱり、貧乏な学生には晩ご飯を出してもらえるのが嬉しい。
その日は茶そばだった。
僕「じゃ、そろそろ頂こうか」
K「やったぁ!」
茶そば。へぇー、このうちの茶そばは、麺に直接ゴマをかけるのか。
僕は麺をすくい上げて、つゆに浸そうとした。
僕「う、うわぁ~~~~~~~」
K「?」
僕「ゴ、ゴマかと思ったら、これウジ虫ちゃうか!?」
K「…ほ、ほんまやぁ!」
薄緑色の麺の表面に、無数の白い虫がついている。
ゴマかと思っていたのは、茶色い頭の部分だった。
僕「すまん、俺、食えないわ」
K「僕、食べてあげようか」
僕「たのむ。お母さんには秘密にしといてよ」
K太郎は、頭は弱いが心根の優しい少年だった。
そして、すこしだけ…いや、ずいぶん雑な少年だった。
彼は二人分のそばが食えるという幸運に恵まれ、おいしそうに平らげたのだった。
K太郎はどんな環境でも生きていくヤツだと確信した。
嫌いなものが出てくるとなんとも申し訳ないような、居心地の悪さがあるね。
アレルギーがあるものは仕方がないから「参りました」できるけど、
我慢すれば食べられないことはない、という場合は大変です。
我慢すれば食べられるのか?
人様のお家で饗された、そんなおごちそうの体験談3話連続でどうぞ。
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第1話「Y家のコーヒー」
僕の幼なじみで腐れ縁の友人にYってヤツがいる。
彼の家に遊びに行くと、きまってお婆ちゃんがお菓子やらラーメンやらをごちそうしてくれた。
高校生になるとコーヒーが出てくるようになった。
僕らも<大人>として認めてもらえたんだろうか。
砂糖が2袋も添えてあるあたり、まだまだ子ども扱いなのか。
僕は辛党なんだけど、インスタントのコーヒーには砂糖が欠かせない。
だから、その時も一袋の砂糖を入れた。
一口飲んだ。口が曲がるほど、べらぼーーーーに甘かった。
Y「うちの婆ちゃん、コーヒーにはあらかじめ2袋ぶんくらい砂糖入れてあるけん」
僕「さ、さきに言ってくれ」
その出来事以来、味見をせずに砂糖や薬味をふりかけるヤツは信用しないことにした。
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第2話「T家のコーヒー」
大学時代に仲の良かったテっつぁんの話。
彼の自宅に始めて遊びに行ったとき、お母さんが入れてくれたコーヒー。
砂糖瓶のフタを開けたら黒いので、洒落た黒砂糖だとおもったら、
アリ。無数の。
テっつぁんと僕は凍りついたんだけど、そこは親子。
彼はその中にスプーンを突っ込んで、一杯をすくい取った。
T「ふっー、ふーっ」
少しだけアリは飛んでいった。が、彼のコーヒーの水面で無数のアリが、
溺れていた。
T「飲めないことはない」
僕は文化の違いを少しだけ感じた。
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第3話「K太郎家の茶そば」
僕は大学時代、4件週8回の家庭教師を持っていた。
K太郎の家はいちばん長くて3年も続けた。
やっぱり、貧乏な学生には晩ご飯を出してもらえるのが嬉しい。
その日は茶そばだった。
僕「じゃ、そろそろ頂こうか」
K「やったぁ!」
茶そば。へぇー、このうちの茶そばは、麺に直接ゴマをかけるのか。
僕は麺をすくい上げて、つゆに浸そうとした。
僕「う、うわぁ~~~~~~~」
K「?」
僕「ゴ、ゴマかと思ったら、これウジ虫ちゃうか!?」
K「…ほ、ほんまやぁ!」
薄緑色の麺の表面に、無数の白い虫がついている。
ゴマかと思っていたのは、茶色い頭の部分だった。
僕「すまん、俺、食えないわ」
K「僕、食べてあげようか」
僕「たのむ。お母さんには秘密にしといてよ」
K太郎は、頭は弱いが心根の優しい少年だった。
そして、すこしだけ…いや、ずいぶん雑な少年だった。
彼は二人分のそばが食えるという幸運に恵まれ、おいしそうに平らげたのだった。
K太郎はどんな環境でも生きていくヤツだと確信した。