弦は緩めるべきか
アコギの保管方法で決着のつかない議論、
その一つが「弾かないとき弦は緩めるべきか」という問題です。
僕的結論:「移動の時はベロベロに緩めるが、通常の保管はドロップチューニング」
●
緩める派と緩めない派は、どういう論旨を展開するか。
緩める派の論旨。
「レギュラー・チューニング時、トップ板にはおよそ70kgの張力がかかっている。
このときトップ板は、ちょうど太鼓の皮をパンパンに張った状態になっており、
トップ板が湿度により腫れ上がる危険性が高い。したがって、弾くとき以外は
弦を緩めるべきである。」
緩めない派の論旨。
「ギターは、レギュラー・チューニング時の70kgの張力を前提に設計されている。
トップ板と側板接着面の緩やかなアーチやブレイシングのアーチ加工など。湿度
管理の必要はあるが、いつでも弾けるような状態を整えることが、結果的に優れ
た管理方法であり、理想的な音の成長が望める。」
●
まず、前提条件として「湿度を適正に保つこと」が重要だとしたうえで考えます。
そうすると、弦の張力によって異常が出てくるギターは、本質的に構造的欠陥を
抱えていると、僕は考えます。
クラシックギターは、弦を張り替える場合も極端にテンションが変わらないように
1弦ずつ換えていくといいます。自動車のタイヤ交換のさいに、ボルトを対角線上
で締めていくのと同じように、6,1,5,2,4,3というふうに1弦ずつ交換するのが良い
とされています。
これは、緩めない派のいう「トップ板は一定のテンションを前提とした設計」の考
え方に基づいているようです。たしかにパンパンに張ったものを、突然緩めてしま
うのは明らかに危なそうですね。
変則チューニングを多用するとき、チューニング後しばらくは音程が定まらないこ
とを実感できます。これは弦の張力が変わったことで、ネックやトップが動いてい
ることを意味します。完全に緩めてしまうとトップ板は落ち込み、ネックは逆ゾリ
状態になってしまうわけです。
ですから、長期にわたってギターを手にしないならともかく、1日2日の頻度で
締めたり緩めたりを繰り返すことは、木材にとって好ましいことではない、と
考えられるのです。
●
しかし、です。
ギターはそもそも高温多湿の気候の中で生まれた楽器ではありません。
グローバルでユニバーサルな考え方が蔓延している現在、こうした地域性を理解し
ている人は案外と少ないものです。
どんなに便利になったからといって、例えば三味線をアメリカに持っていっても、
三味線本来の音は再現できません。高温多湿、畳敷きに襖や障子という音響環境
のなかで三味線の音は力を持つのです。
日本の環境は、ギター設計の「想定外」の環境なのです。
●
「ギターは人と同じである。自分が蒸し暑いと感じれば換気をしたり除湿する。
乾燥してると感じれば加湿する。それがギターにとっても良い状態だから
特段に配慮する必要はない」
という意見を聞きます。しかし、僕たちが普通の日常を過ごすためには、四六時中
ギターの近くにいることはできません。また、必要以上に冷暖房を使ってしまう人
もいるわけですから、気がついたら乾燥しすぎていたということもあるはずです。
ということは、前提条件であった「湿度を適正に保つこと」は、ほぼ無理なのです。
●
したがって、トップにはある程度のテンションをかけるが、レギュラー・チューニ
ング時の70kgよりも軽減しておく、という方法を僕は選びました。
現在、6弦からCDDGDDのチューニングで保管しています。
その一つが「弾かないとき弦は緩めるべきか」という問題です。
僕的結論:「移動の時はベロベロに緩めるが、通常の保管はドロップチューニング」
●
緩める派と緩めない派は、どういう論旨を展開するか。
緩める派の論旨。
「レギュラー・チューニング時、トップ板にはおよそ70kgの張力がかかっている。
このときトップ板は、ちょうど太鼓の皮をパンパンに張った状態になっており、
トップ板が湿度により腫れ上がる危険性が高い。したがって、弾くとき以外は
弦を緩めるべきである。」
緩めない派の論旨。
「ギターは、レギュラー・チューニング時の70kgの張力を前提に設計されている。
トップ板と側板接着面の緩やかなアーチやブレイシングのアーチ加工など。湿度
管理の必要はあるが、いつでも弾けるような状態を整えることが、結果的に優れ
た管理方法であり、理想的な音の成長が望める。」
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まず、前提条件として「湿度を適正に保つこと」が重要だとしたうえで考えます。
そうすると、弦の張力によって異常が出てくるギターは、本質的に構造的欠陥を
抱えていると、僕は考えます。
クラシックギターは、弦を張り替える場合も極端にテンションが変わらないように
1弦ずつ換えていくといいます。自動車のタイヤ交換のさいに、ボルトを対角線上
で締めていくのと同じように、6,1,5,2,4,3というふうに1弦ずつ交換するのが良い
とされています。
これは、緩めない派のいう「トップ板は一定のテンションを前提とした設計」の考
え方に基づいているようです。たしかにパンパンに張ったものを、突然緩めてしま
うのは明らかに危なそうですね。
変則チューニングを多用するとき、チューニング後しばらくは音程が定まらないこ
とを実感できます。これは弦の張力が変わったことで、ネックやトップが動いてい
ることを意味します。完全に緩めてしまうとトップ板は落ち込み、ネックは逆ゾリ
状態になってしまうわけです。
ですから、長期にわたってギターを手にしないならともかく、1日2日の頻度で
締めたり緩めたりを繰り返すことは、木材にとって好ましいことではない、と
考えられるのです。
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しかし、です。
ギターはそもそも高温多湿の気候の中で生まれた楽器ではありません。
グローバルでユニバーサルな考え方が蔓延している現在、こうした地域性を理解し
ている人は案外と少ないものです。
どんなに便利になったからといって、例えば三味線をアメリカに持っていっても、
三味線本来の音は再現できません。高温多湿、畳敷きに襖や障子という音響環境
のなかで三味線の音は力を持つのです。
日本の環境は、ギター設計の「想定外」の環境なのです。
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「ギターは人と同じである。自分が蒸し暑いと感じれば換気をしたり除湿する。
乾燥してると感じれば加湿する。それがギターにとっても良い状態だから
特段に配慮する必要はない」
という意見を聞きます。しかし、僕たちが普通の日常を過ごすためには、四六時中
ギターの近くにいることはできません。また、必要以上に冷暖房を使ってしまう人
もいるわけですから、気がついたら乾燥しすぎていたということもあるはずです。
ということは、前提条件であった「湿度を適正に保つこと」は、ほぼ無理なのです。
●
したがって、トップにはある程度のテンションをかけるが、レギュラー・チューニ
ング時の70kgよりも軽減しておく、という方法を僕は選びました。
現在、6弦からCDDGDDのチューニングで保管しています。