アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

SOS!僕はここにいる

少しばかり前に、こんなニュースを見た。

ダイバー7人が岩場で孤立 福井、高波で救助作業難航
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/shakai/20060703/20060703a4790.html

さぞや大変なことになったんだろう、む~~なになに。
「岩場に孤立」「携帯で海上保安部に連絡」「高波で救出打ち切り」
あ、これはつらいね。とか同情したら、海上保安官が一晩中ついてたそうじゃねぇか。

今日の調子はなぜかベランメェ調だぜ、べらんめぇ。

っつーかさ、海にかかわる仕事してる人なら、それに近い経験してるだろ。
ダイバー気取りの男が6人もいて情けない。

僕のとうちゃんはさ、海が大好きでね。休みの日は、ほぼ海に出る。
子どもと遊ぶ=子どもを釣りに連れて行く、という勘違いぶりで、
月に一度は僕もいやいや同行していた。

今は友達数人と金を出し合って小さな漁船を買ったとうちゃん。
でも、僕が小学生の頃は、「渡し」という海のタクシーを使ってた。

僕が小学4年の頃、瀬戸内海にある小さな岩礁で釣りをした。
とうちゃんとその友達のハタさん、僕という3人。
「渡し」には夕方6時に迎えに来てもらう約束だった。
とうちゃんとハタさんは、名残惜しそうに釣り道具を片づけた。

ところが、7時になっても8時になっても迎えが来ない。
当時は携帯電話なんてありませんから。

まずいことに潮が満ちてきた。
最初は余裕をかましていた大人二人も、上へ上へと荷物をあげ、
足場が無くなっていくにしたがって無口になっていく。

実はこの時、僕はワクワクしていた。
だってこの状況、「あーもうダメだ」って時に助けが来るじゃん、ってテレビの見過ぎ。
いつもは怖い、ドメスティックなとうちゃんがビビってるのが嬉しかったのね。

それにしても、そろそろ子どもは寝る時間。午後10時を過ぎている。
電話はねーし、懐中電灯はねーし。
すぐそこで、ドッパーンって波がせまっている真っ暗な岩場。

迎えが来たのは深夜だった。

「渡し」のおっさんは、僕らのことを忘れて酒飲んで寝ていたそうだ。
なぜ、彼が思い出したのかは定かでない。

僕は迎えに来た船のライトが、すんごーくまぶしかった事を記憶している。

とうちゃんはこの数年後、海に行くためだけに携帯電話を購入した。
土曜日と日曜日だけ使える「ドニーチョ」だったことは言うまでもない。