アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

ハンドメイドの境界vol.4

個人製作家ギターのブームは、メーカー製品一辺倒だった
ギター業界に新たな可能性を感じさせます。
特に国内の個人製作家にスポットが当てられたことは、
喜ぶべきことだと思います。

しかし、です。

受注が増えることで、行き場を見失いそうになっているルシアーも
少なくないのではないでしょうか。

発注者は雑誌に取り上げられたプロトタイプと寸分違わぬ製品を
期待します。代理店も人気のあるうちに受注してしまいたい。
個人製作家は、新たな挑戦も許されず、過去に製作したものを
再現する「技術職人」と化してしまいます。

押尾コータローで人気のルシアー、Grevenは発注時の注文とは
およそ異なった製品が仕上がることでも有名です。
でも、僕はそれが手工的ハンドメイド・ギターの本来の姿だと思う。

僕も国内ルシアーモノの購入を考え、商談していました。

しかし、受注が多くて、プロトタイプを再現するモノしか受け付けられない、
と言われ、引き上げました。独自のギターを切り開こうとする姿勢に
共感するからこそ、個人製作家に依頼しようとしていたのです。
すでにあるモノしか作れない、しかも注文を受けすぎていることが理由。

いいのかな、そんなんで。

工芸品とプロダクト製品を混同してしまう消費者にも原因があるでしょう。
売れるときに売っておきたい代理店にも原因がある。

でも、個人製作家は迷わずスジを通すべきじゃないか?