アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

YAMAHA型

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日本のアコギの歴史は、MartinやGibsonの模倣から始まっています。
僕は決して「模倣」が悪いことだとは思いません。
少なくとも技術の「伝承」は「模倣」から始まるからです。
肝心なのは、模倣から独自のスタイルを編み出すことができるか、
ということです。それがオリジナリティだと思います。

YAMAHAは初期からオリジナリティを意識したギターを生み出しています。

70年代の他社製品の多くは、「憧れのマーチンやギブソン」に似た機種を
格安で販売することに躍起になっていました。
それらのメーカーが技術的にも向上し、高額な製品を販売するようになりますが、
コピーモデルから決別するのは早くて80年代後半のようです。
実際、未だにコピーから逃れられないメーカーがあるのも事実です。

そういった意味でYAMAHAのギターは、米国のコピーに堕してはいけない、
という日本の意気込みさえ感じます。

ピックガードも独自の顔を持っています。
たしかにGibsonのラージピックガードを模したモデルもありますが、
YAMAHAといえば、FGシリーズやLシリーズのピックガードが「顔」ですね。

写真左は70年代のFG-180。低価格なこともあって爆発的に売れました。
ティアドロップ型の変形と考えられますが、指板にチョコッとあたるのが
あぁ、ヤマハだな~~と感じさせます。

写真中は同じく70年代のL-53、写真右は現行のLL-36です。
ご覧のようにFGシリーズとLシリーズの形状は異なるのですが、
どちらもYAMAHA顔をしているところがすごい。

僕的には、ボディ・デザインがヨコ広のFGは、ボテッとした印象があり、
余り好きではありません。ピックガードもブリッジよりが寸胴な感じで、
野暮ったさを連想してしまいます。昔弾いていた先輩や友人も多くいて、
懐かしさを感じるデザインでもあります。

で、Lシリーズのピックガードは右側のアールが自然で好感が持てます。
ブリッジよりの「重さ」はありますが、スリムな印象です。
比べると現行LLシリーズは、縦長になって実際にスリムになっているようです。
確かに洗練されましたが、僕的にはLシリーズのラインがよろしいかと。
つまり、洗練したことでパンチが薄くなったと感じます。