アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

冠王のトガノくん、なのだ。

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小学校の友達には不思議な子が多いものだ。

小学3年生ころの友達に「トガノくん」がいた。トガノくんはどちらかというとマイペースで愉快なんだけど、決してしゃしゃり出たりしない、どこか崇高な印象のある静かな子だった。

そのころって、一緒に遊ぶ固定グループがあるもんだが、それが彼とは違っていたのであんまり遊んだ記憶がない。でも、僕は気の良いトガノくんのことが好きだったし、一緒に遊びたい友達の上位にランクしていた。

あるとき、そのトガノくんと僕と…もう一人いたけど記憶にない子(←その子は哀れ)のチームで、社会科の宿題をすることになった。自分の住む町の、地図を作ろうというヤツだ。

土曜日の半日、近所を駆けずりまわった。トガノくんと一緒にいて楽しかった。夕日がしずむなかを三人はならんで家路についていた。きらきら輝いてる時間だった。。。

そのときトガノくんが、びっくりするような声で、夕日に向かって叫んだ。

ト「かんッむりおぉぉおおーー」

かんむりお? カンムリオー? 冠王? 謎の言葉である。神秘的な彼から発せられたご託宣のようなもんである。月曜日の教室で「かんむりおー」が大流行し、彼は「冠王のトガノくん」になった。残念ながら小学校を卒業するまで、彼はことあるごとにカンムリオーと呼ばれた。

今になっておもうに、あれは「感無量」と叫んだのではないか。

周りの僕らが無知だったために、彼の言葉を理解できなかったのではないか、とおもうのである。夕日の中で「感無量」と叫ぶトガノくんもすごい。が、あのとき、彼も僕と同じ気持ちだったんだと、大人になって理解した。

僕も、たしかにあのとき感無量だったのだ。