ギターのヒビ割れvol.3
ギターにとって最悪のトラブル（？）、木部にヒビが入るクラックについてです。
高温多湿の日本では、自然に割れてしまうことはほとんど無い、といって良いでしょう。
木部が割れるような状況は、所有者の管理に原因があります。
原因ごとに対処法を考えていきます。
●
【ぶつける、落とす】
これほどギターがダメージを受けることはありません。アコギは3mm程度の板が、
互いに外側へ向かう張力をともなった「箱」です。予期せぬ方向から力がかかれば
崩壊は免れません。当たり前ですね。
でも、そういった意識が、取り扱いにあらわれると思います。
「堅い木の箱」というイメージで扱っているとひどい目に遭います。
ガンガン弾いても構いません。弾き傷上等！ただし、ほかの力には案外弱いって
ことをイメージするしか対処法はないでしょうね。
●
【過乾燥と急激な湿度変化】
木部が割れるほどの過乾燥ってどんな状況なんでしょうかね。Martin社なんかも
45%以下になったら要注意って公式見解出してますが、すぐに割れるってことで
はないですよ。
例えば、ストーブを使っている部屋に長時間おいていたとか、エアコンの温風が
直接あたるような場所に置いていたとか、極端な場合でしょうね。あのね、当然
こんなことは避けてください。間違ってもギターのある部屋で鍋パーティやって
（湿度激高状態）、そのあとストーブかけたまま（過乾燥状態）歓談したなんて
ことはないようにね。
んで、わかってはいてもやっちゃうのが、車で移動などの輸送に関するものね。
夏場に車の中におきっぱなしは危ない。ハードケースは絶対必要で、直射日光が
当たるとこは避ける。でもね、ホントーに危ないのは、車から降ろして室内に持
ってきて「もー安心」なんて思ってすぐに開けちゃうこと。
木材にとって危険なのは、「極端」なんですよ。
車の中はたしかに危険、部屋が乾燥してるのも危険。でも、車に積んだ板は全部
割れちゃうでしょうか？過乾燥の部屋にある家具がバキバキ割れちゃうでしょう
か？…んなことはないよね。
高湿度←→過乾燥、低温←→高温の急激な変化に木材は耐えられないわけ。
ギターをケースに入れて移動して、環境が変わったらしばらく空気に馴染ませる。
車から降ろしたら部屋の温度にケースごと馴染ませて、フックを外して馴染ませ
てってね。
…面倒？ 後悔先に立たずっていうでしょ、おっちゃんのいうこと聞きんさい。
●
【叩く、ボディヒッティング】
押尾コータロー君によって広く浸透した奏法ですね。僕も叩いちゃいますよ、上
達しないけど。でも、この奏法はトップ割れのリスクをともなった技術ですから。
押尾君だって何度も割ってるでしょ。一時、押尾君が手に入れたってことで人気
上昇したメリルってギターね。トップ割っちゃったそうです。
まず、サムピック（親指に装着するピックね）や指輪をつけたままでヒットしちゃ
ダメですわ。中川イサトは指輪でヒットするけどね、そりゃ仕事だから。あんた、
必要経費で購入やリペアできる人と一緒に考えたら後悔する。でしょ？
それから、ヒットする場所ね。彼らだって手当たり次第に叩いてる訳じゃない。
トップ板のブレイシングが貼られている比較的強い部分は、親指の第１関節で
カーンとヒットする。ブレイシングが走ってない部分は、手の腹でドンとパーム
って使い分けてるでしょ。
力加減も重要だと思います。剣道の初心者はむやみに振り下ろすから、あたると
痛いっす。けど、上級者になるとヒットと同時にスナップ効かせて上げる動作が
入るから痛くない。気持ちいい。って、脱線しました。
何が言いたいかって言うと、むやみに叩いたら割れます、間違いなく。だから、
加減がわかるまでは高額なギターで練習しないほうが良いってこと。
●
【マーチン・クラック】
これは特殊な例です。70年代までのマーチンは、ピックガードを貼ってから、
そのうえにラッカー塗装を施しています。
経年変化が予測できなかったんでしょうね、当時は。
このような古いマーチンは、ピックガードが剥がれて塗装ごと捲れ上がるってこ
とが起きる。でも、これはまだマシ。綺麗に剥がしちゃって、新たにピックガー
ドを新調すればいい。これはよくあることだから、価値が大きく下がることもない。
で、このピックガードがセルロイド製のものは、セルロイド自体が経年変化で縮む
のに木材がついていけなくて、トップ板が割れてしまうんです。こわ～～。
この割れを「マーチン・クラック」っていうらしいです。たぶん、該当のギターは
すでに割れちゃってると思いますが、まだご存命であれば、割れないうちにピック
ガードを交換された方が良いのではないでしょうか。
オリジナルにこだわるのはわかりますが、逆にその年代でクラックがない方が重要
だったりします。
高温多湿の日本では、自然に割れてしまうことはほとんど無い、といって良いでしょう。
木部が割れるような状況は、所有者の管理に原因があります。
原因ごとに対処法を考えていきます。
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【ぶつける、落とす】
これほどギターがダメージを受けることはありません。アコギは3mm程度の板が、
互いに外側へ向かう張力をともなった「箱」です。予期せぬ方向から力がかかれば
崩壊は免れません。当たり前ですね。
でも、そういった意識が、取り扱いにあらわれると思います。
「堅い木の箱」というイメージで扱っているとひどい目に遭います。
ガンガン弾いても構いません。弾き傷上等！ただし、ほかの力には案外弱いって
ことをイメージするしか対処法はないでしょうね。
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【過乾燥と急激な湿度変化】
木部が割れるほどの過乾燥ってどんな状況なんでしょうかね。Martin社なんかも
45%以下になったら要注意って公式見解出してますが、すぐに割れるってことで
はないですよ。
例えば、ストーブを使っている部屋に長時間おいていたとか、エアコンの温風が
直接あたるような場所に置いていたとか、極端な場合でしょうね。あのね、当然
こんなことは避けてください。間違ってもギターのある部屋で鍋パーティやって
（湿度激高状態）、そのあとストーブかけたまま（過乾燥状態）歓談したなんて
ことはないようにね。
んで、わかってはいてもやっちゃうのが、車で移動などの輸送に関するものね。
夏場に車の中におきっぱなしは危ない。ハードケースは絶対必要で、直射日光が
当たるとこは避ける。でもね、ホントーに危ないのは、車から降ろして室内に持
ってきて「もー安心」なんて思ってすぐに開けちゃうこと。
木材にとって危険なのは、「極端」なんですよ。
車の中はたしかに危険、部屋が乾燥してるのも危険。でも、車に積んだ板は全部
割れちゃうでしょうか？過乾燥の部屋にある家具がバキバキ割れちゃうでしょう
か？…んなことはないよね。
高湿度←→過乾燥、低温←→高温の急激な変化に木材は耐えられないわけ。
ギターをケースに入れて移動して、環境が変わったらしばらく空気に馴染ませる。
車から降ろしたら部屋の温度にケースごと馴染ませて、フックを外して馴染ませ
てってね。
…面倒？ 後悔先に立たずっていうでしょ、おっちゃんのいうこと聞きんさい。
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【叩く、ボディヒッティング】
押尾コータロー君によって広く浸透した奏法ですね。僕も叩いちゃいますよ、上
達しないけど。でも、この奏法はトップ割れのリスクをともなった技術ですから。
押尾君だって何度も割ってるでしょ。一時、押尾君が手に入れたってことで人気
上昇したメリルってギターね。トップ割っちゃったそうです。
まず、サムピック（親指に装着するピックね）や指輪をつけたままでヒットしちゃ
ダメですわ。中川イサトは指輪でヒットするけどね、そりゃ仕事だから。あんた、
必要経費で購入やリペアできる人と一緒に考えたら後悔する。でしょ？
それから、ヒットする場所ね。彼らだって手当たり次第に叩いてる訳じゃない。
トップ板のブレイシングが貼られている比較的強い部分は、親指の第１関節で
カーンとヒットする。ブレイシングが走ってない部分は、手の腹でドンとパーム
って使い分けてるでしょ。
力加減も重要だと思います。剣道の初心者はむやみに振り下ろすから、あたると
痛いっす。けど、上級者になるとヒットと同時にスナップ効かせて上げる動作が
入るから痛くない。気持ちいい。って、脱線しました。
何が言いたいかって言うと、むやみに叩いたら割れます、間違いなく。だから、
加減がわかるまでは高額なギターで練習しないほうが良いってこと。
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【マーチン・クラック】
これは特殊な例です。70年代までのマーチンは、ピックガードを貼ってから、
そのうえにラッカー塗装を施しています。
経年変化が予測できなかったんでしょうね、当時は。
このような古いマーチンは、ピックガードが剥がれて塗装ごと捲れ上がるってこ
とが起きる。でも、これはまだマシ。綺麗に剥がしちゃって、新たにピックガー
ドを新調すればいい。これはよくあることだから、価値が大きく下がることもない。
で、このピックガードがセルロイド製のものは、セルロイド自体が経年変化で縮む
のに木材がついていけなくて、トップ板が割れてしまうんです。こわ～～。
この割れを「マーチン・クラック」っていうらしいです。たぶん、該当のギターは
すでに割れちゃってると思いますが、まだご存命であれば、割れないうちにピック
ガードを交換された方が良いのではないでしょうか。
オリジナルにこだわるのはわかりますが、逆にその年代でクラックがない方が重要
だったりします。
