アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

ギターのヒビ割れvol.2

Gibson,Martinのオールドやヴィンテージには、きまって塗装面のヒビ割れがみられます。
ラッカーフィニッシュの証、チェッキングです。それはときに高級ギターの証とされます。

トップ板を走る比較的目立つチェッキングや、反射光の角度を変えた場合にフレットと平
行方向にさざ波のごとく見える無数のヒビ割れなどタイプは様々。

そもそもチェッキングは有害な、というか不安材料として考える必要があるのでしょうか。

たしかにレモンオイルやオレンジオイルなどで本体を拭いたとき、チェックから液体が浸透
して木部が変色するようであれば、すこしだけ気にしてあげる必要があるでしょう。
けれども、基本的にはギターがダメージを受けるたぐいのトラブルとはいえないと思います。

すり切れたジーンズの格好良さというか、ラッカー塗装の正しい経年変化ととらえるべきです。

さすがに10年選手でチェックだらけっていうのは、湿度管理に問題があると考えられ、ほかの
部位にも何らかの問題を抱えている可能性がありますけど。

急激な湿度差によって木材が収縮拡大し、経年変化で変質した塗膜面がついていけなくてヒビ
割れとなるチェックは、ハッキリとスジが見える割れとなって現れます。この場合、多くは木
目方向にスジが走ったり、ブリッジを山頂としたトップの持ち上がり方向にスジが走ります。
バインディングと木部の境目に走るチェックもこのたぐい。

また、トップ板の振動によって変質した塗膜面が割れるチェックは、正面から見ただけでは目
視が困難で、角度を変えると見えてくるほどの微細な割れとなって現れます。この場合は、木
目に対して垂直方向(フレットと平行方向)にヒビが入り、一つひとつは1~2ミリほどの短
いものであることが多いようです。

同じ年代の機種でも激しいチェッキングが見られるものもあれば、逆にほとんどチェックが発
生していないものもあります。ライブなどで酷使されたギターほどチェックが激しい傾向があ
り、また、Martinよりもバリバリ弾かれるGibsonのほうが激しいチェックを目にする機会が多
いようです。

ですから、自宅のような限られた場所で使うよりも、ライブ会場や屋外、スタジオや友人宅の
ように次から次へと持ち運んで、環境が激変するほどチェッキングは起きやすいと考えられます。
少なくとも、ギターケースをあけるとき、しばらく空気に馴染ませるように心がけることで、
無用のチェックを作ることは避けられそうです。

僕の場合は、ギターケースのフックを外した状態で、20分ばかり放置しておきます。

チェッキングは、格好いいんですよ、基本的には。ただ、経年変化によるのではない極端な
チェックは不要というわけです。