アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

悲しみの彷徨、うどんバカ一代。

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瀬戸大橋1000円GWの讃岐うどんフィーバー。ETCを装備しない我が家には全く関係がなかった。

ところが期せずして、GWが終了したある日、香川に出向くことになったのである。

夜9時まで続く会議の最中にかかってきた電話は、妻の実父の危篤を告げるものだった。妻は昼間のうちに高松へ移動している。今春、同じ町にやって来たばかりの姪をクルマに乗せ、僕は一路香川県高松市へと向かう。

とにかく姪を祖父に一目会わせようと、明るく振る舞いながらクルマを走らせたのだが、残念ながら行程の半分にも満たない蒜山高原を過ぎたあたりで、義父の訃報がもたらされた。

深夜2時、妻の実家に辿り着くと、亡き義父の遺骸はすでに病院から帰還していた。

僕は、厳しくも優しさとユーモアを湛えた義父が大好きだった。掛け値なしで尊敬できる義父だった。訃報に集う親戚たちのなかで血のつながりを唯一持たない僕は、どう振る舞って良いのかわからない。

僕は悲しみをうまく表現することが出来ない。

ボロボロと泣くことが出来たらどんなにか楽なのに、そもそも妻を介して関わりを持った赤の他人の僕がそんなことをしたら、きっと周りの人たちは興ざめするに違いないと、ありもしないことを心配して硬直する。

一度は床についたものの、親戚たちが帰って行くクルマの音を聞き、やっと現実と向き合える気がして義父のそばに立った。。。いつかはくると覚悟していた現実が目の前にあった。

そうして迎えた朝。妻にうながされて、一人うどんを食べに出かけた。「うどんバカ一代@高松市多賀町」。

香川では「“あとをひく”から喪中にうどんは食べない方がよい」などというらしい。冷たいかけの中(二玉)、悲しい朝には旨すぎる一杯。。。人の死と生活のなかのうどん。

翌日、妻と姪を連れて再び訪れた。

注文は冷たいかけ。丸二日寝ていない妻の顔に少しだけ笑顔が見えたのだった。