アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

中華そば、百万両。

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今日から岡山帰省編ということで、ラーメンを中心にいくつか報告していきます。

僕ら夫婦の移動を心待ちにしていてくれたのは、妹と5歳になるその息子である。今年の正月に野球盤をプレゼントされた甥っ子は、僕たちと対戦したくてたまらないんである。

ひとしきりコテンパンにして伯父の威厳を保った僕は、みんなを連れてラーメンを食べに行くことにした。

お昼には少しはやい午前11時。この時間ならボックス席も空いていよう。狙いは「百万両@倉敷市連島町」である。いわずと知れた岡山を代表する老舗店にして、我が青春のラーメン屋。

これまでなんどとなく訪れて、はじめてボックス席に腰を下ろした。

この店は黙って座ればラーメンが人数分でてくる。けれど、甥っ子はひとりで一杯はまだ無理。このたびはじめて店員に「3つ」とオーダーしましたよ。。。人の親になると、いろいろと変わるんだろうな~と感慨深い。

ラーメンは速攻で饗される。

ズルッと…ああ、懐かしい。鶏ガラと煮干しに醤油ダレ。この界隈の中華そばのデフォルトです。麺は細いストレート麺。のびやすいので一気に食べる仕様になっている。

このあたりは強制連行された朝鮮人によって干拓された土地。本来、農地として干拓したんだけど、太平洋戦争で工業地として接収され、亀島山の地下には秘密工場が作られていた。

戦争が終わり、1950年代から60年代に高度経済成長を迎えると、大企業が工場を構え、水島コンビナートを形成する。斜陽になった全国の炭坑従事者がこの土地に仕事を求めて集まった。

このあたりのことに興味がある人はクラッシュジャパン-水島の歴史で。

そうして出来上がった水島の町には活気があった。1970年をピークに衰退の一途をたどるが、この百万両のラーメンは往時をおもわせる仕様なんである。

メニューが中華そばだけでオーダーの必要がないのも、のびやすく細い麺だけど茹で時間が短くて済むのも、食い終わったら自分で勘定してテーブルから釣りをとるのも、すべて労働者のための仕様なのだ。

甥っ子が「おいしい、もっと欲しい」と言った。こうして郷土の味は、伯父から甥へ伝えられたのであった。

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