中華そば500円、百万両。
「この世の最後にラーメンを一杯。さて、どこで食べる?」
こう聞かれたら、多くの麺通たちは味だけで決められるだろうか? 僕はそう思わない。最後の一杯に求めるのは、自分の思い出にどれだけ寄り添っていた一杯かどうか、だ。
明日死んでも食いのない、失礼、悔いのない人生を送る事をモットーとする僕は、極端な話、その最後の一杯を探して新しい店を訪れているような気もする。
ここ何年も揺るがない、僕はこの店を選ぶだろう。
空席をみつけてしばらく待つと中華そばが饗される。注文する必要はない。この店で「麺かため」などとコールする奴は麺通を気取ったトーシロー。気持ち悪いから出直してこい、ってなもんである。
醤油ダレが勝った鶏ガラと煮干しのスープ、ストレートの細麺をすいすいと口に運び、脂の少ないペラペラのチャーシュー、味の深いメンマを交互に。やあああっと勢いで食べてしまう。
最後に、お勘定をテーブルに置き、おつりが欲しければ勝手にテーブルからとっていく。
むむ、やっぱり今回も旨かったなあ。