松江の王道、太平楽。
久々に再会した友人たちと痛飲した翌日。
知る人ぞ知る、取材拒否の有名店。
朝9時半頃に店を開け、正午前には麺を売り切って店を閉めてしまう。週休3日のうえに、ご高齢の大将の健康上の理由で長期休業に入ったこともある。とにかく、ありつくためのハードルが年々高くなる店なんである。
日曜朝9時40分、店に到着。暖簾はないが「営業中」の札アリ。
すでに9割の席が常連たちによって占められ、各々持参した本や新聞を拡げてラーメンの出来上がりを待っている。カウンターの中に大将の姿はない。お元気だそうだが、半ば引退したような話が聞こえてくる。
9時50分頃には最初の麺が上がり、カウンター客が食べ始める。2度目の麺上げが10時をまわった頃で、僕は3度目の麺上げでようやくありついた。僕の後には店の外まで行列ができはじめている。
大将不在で娘さんが作ったラーメンだが、「いつものラーメン」で一安心。
決して飛び抜けて旨いラーメンではない。しかし、これを食べなきゃ松江のラーメンは語れない。王道中の王道、という意味では、ほんとうに特別なラーメンなのである。一度ご賞味あれ。