アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

「ぶっかけ」は讃岐うどんか?

昨日のつづき。麺料理でどうにも気になる3つめだ。

【その3】「讃岐うどん」といえば「ぶっかけ」?
「ぶっかけ」とは、冷水で締めたうどんをそのまま(ぶっかけ冷や)、もしくは一度湯がいて温めたうどん(温ぶっかけ)に、ダシつゆをチャッとかけて食べる讃岐を代表するうどんメニューとして知られる。

県外の「讃岐うどん」を名乗る店では、特にブーム以降、ぶっかけは外せないメニューのようだ。「讃岐名物ぶっかけうどん」をメインにしている店も少なくない。そればかりか、県内の新規参入店のなかにも、他県のうどんとの差別化メニューとして「一にぶっかけ、二に釜玉」を挙げる始末。

なにをそんなに怒っているかというと、「ぶっかけ」は岡山県倉敷市起源説が有力だからだ。

今ではチェーン展開で東京にも進出を果たし、ブーム後のうどん屋にも見えるが、倉敷は駅前商店街に本店をかまえる老舗の専門店「ぶっかけのふるいち」がぶっかけうどんの元祖だとする説は有力である。ふるいちのHPにある「ぶっかけうどん物語」のことを言ってるのではない。あれは完璧な作り話だ。

■倉敷起源説1:名称の問題
香川生まれのメニューなら、なぜ「かけ」と混同しやすい「ぶっかけ」という名にしたのか? 洒落の効いた讃岐人なら、注文時に間違えやすい名称をわざわざつけたりはしまい。つまり「かけ」に対して、「ぶっかけ」の名称が外来種であることがわかるという説。ちなみに岡山県のうどん文化は「具」に重きがおかれるので、「かけ」は昭和50年以降のセルフ形式(当時、100円うどんと呼んでいた)が香川から流入した名称。それまで、「かけ」に該当するものは「すうどん」と呼んでいた。したがって、岡山県で「ぶっかけ」と呼ぶ名称は、ほかのメニューとの混同が起こりにくく、在来種である可能性が高いという。

■倉敷起源説2:ふるいちの開業時期の問題
香川のうどん屋は太古の昔からやっていると勘違いしている人がいるかもしれない。だが、老舗といわれる店の多くは、昭和四十年代の第一次開業ブームに開店している。倉敷の「ぶっかけのふるいち」が開業した時期は正確ではないが昭和三十年代になっていたと思う。つまり、ふるいちは香川のうどん屋開業ブームと比べても、かなり早い時期に開業し、ぶっかけを売りにしていたことがわかるのだ。

■倉敷起源説3:麺通団がぶっかけの起源に触れない問題
こういった情報に関しては、田尾さん率いる麺通団の右に出るものはないだろう。ことは「讃岐を代表するメニュー」といわれるぶっかけである。「釜玉」の起源にはふれても、決して「ぶっかけ」にふれないのはなぜか。どうも讃岐じゃないらしい、と知っていて黙っているのかと勘ぐってしまうのである。

以上のことから、「讃岐名物」とか「讃岐うどんといえば」的なぶっかけの扱いは、かなり異論の余地があるということである。そうかもしれないし、そうでないかもしれないのである。香川県内の老舗うどん屋は、決して「讃岐はぶっかけ」とは言わない。声高に言っているのは、後発の新規参入店と県外の「讃岐うどん」店だけだ。

「本場さぬきうどん、名物ぶっかけ!」とか表記した店に行くと、ちゃんと調べもせんとええ加減なこというなよ、と文句言いたくなる。その道でやっていこう、さぬきうどんを商売にしよう、そう思うんだったらプロだろ。プロなら自分の守備範囲くらい勉強しなさいよ、と思うのである。明々白々な名物「釜玉」や「釜あげ」は作り置きができないから商売向きではない、っつー理由で「ぶっかけ」を前面に出してるんなら、許されんぞ。

しかぁーし、もっと問題なのは「ぶっかけのふるいち」が讃岐うどんブームに便乗して、讃岐セルフ形式にしてしもうとる。うれりゃーなんでもええんか。ええみたいである。こんな事が気になるの、僕だけ?