アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

「釜あげ」を考える

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「釜あげ」……釜揚げ(かまあげ)とは、釜または大鍋で茹でて、茹であがったまま何も手を加えない食材の事を指す。(Wikipedia

「釜あげうどん」……釜揚げうどん(かまあげうどん)とは、茹でたうどんの麺を、温かいつゆにつけて食べるうどん。(中略)麺を茹でた釜そのままから掬い上げたものを食べるため「釜揚げ」という。水で締めた麺を湯を張った桶に入れたものは「湯だめ」というが、一見して釜揚げうどんと同じであるため、湯だめを釜揚げと称して出す店もある。(Wikipedia

このように「釜あげ」「釜あげうどん」が如何なるものか、讃岐人でなくともちょっと調べればすぐにわかる。ところが、知ってか知らずか、いや、単なる馬鹿野郎なのか、飲食店での使い方が無茶苦茶なんである。

べつに飲食店で商売してる人じゃなければいいんですよ、そんなのなんだって。

でもね、僕が何度も口をすっぱくして言ってるのは、そのメニューで商売するってお店が用語を正しく使えない、勉強する姿勢すら見えないのはまずいでしょう、ということ。

山口県萩市に本部を置く某手打ちうどんチェーン。。。こちら(追記:すでに差し替えられています) 釜あげうどんを前面に押し出すのはいいが、ホームページやポスターには謎の言葉が踊る。

「すべて釜あげうどん」。。。え、ええっ!ということは水でしめたうどんは出さんのですか!と、びっくらしたところでメニューを調べてみると、冷たいぶっかけもあるし、ざるうどんもある。脱力。

そして次のような言葉。「茹でたてだから釜あげよ!」。。。はあ、左様ですか。もうなんだか意味というか、日本語がよくわからんのですが。。。汗)

で、店舗にも行ってうどん食べてよく考えた。

結論として、この店は〈釜で茹でる=釜あげ〉と誤解してるようなのだ。もう一度確認しておくが、うどんを〈釜〉から〈あげ〉たまま食すのが「釜あげうどん」である。勉強して出直してこいっ、てなもんである。

さて、もう一件。

回転寿司の人気チェーン「くら寿司」が期間限定で提供していたサイドメニュー「讃岐風釜玉うどん」である。これ、おそらくフリーズドライのうどんに温泉たまごをのせたもの。

ちなみに釜玉うどんとは「〈釜〉からあげたうどんに生〈玉〉子をあわせてかきまぜ、半熟状態になったところに醤油や出汁をかけて食べる」ものをいう。。。

冷えた温泉たまごでは全くの別物。

フリーズドライの麺にしても、茹でた麺を水でしめるどころか一旦冷凍して、それをお湯で解凍してるわけだから、釜や鍋からあげたままでも正確には「釜あげ」とはいわない。

つまり、このうどんを正確にいうと「温泉たまごうどん」なんだが、それではあまりに商品開発担当者がかわいそうなのでニュアンスを残したまま正確さを出すと、「讃岐釜玉風うどん」なら納得する。

「讃岐風釜玉うどん」と言った場合、温泉たまごをのせて〈釜玉うどん〉と称するのが〈讃岐風〉という誤解を与えますね。これは一飲食店の商品開発とかネーミングの問題ではございませんよ。間違った知識です。

ほんまに、もう。

どちらもチェーン店ですからね。企業体ですよ。社会的責任は軽くないのです。自分とこのメニューくらい、味や素材だけでなくて、ちゃんと背景や由来くらい勉強しんさいや!

【追記】よほどのバカさ加減に気がついたのか、某うどんチェーンのHPから「釜揚げ」押しが一掃されました。めでたし、めでたし。