アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

ハンドメイドの境界vol.1

このところ、アコギの世界は個人製作家ブームであります。
ルシアーモノの高額なギターが、ぐんぐん市場を広げてます。
それにともなって「ハンドメイド」を売りにするメーカーも出てきました。

ハンドメイドって、なんだ?

モノを造り出す過程で「道具」は必要です。
自分の「手」オンリーで、ギターつくる人なんていません。
道具を使う頻度によって、少なければハンドメイド、
多ければ量産と言えるのでしょうか?

今日は「ハンドメイド」について考えてみます。
(最近、しぶい話題が多いナー)

この問題は、美術分野の「工芸」と「デザイン」の関わりに似ています。

もともと、日常に関わる機能的な造形物は、一人の職人によって
つくられていました。ものづくりの原初的な形は、人とモノが1:1の
関係にあったわけです。優れた職人には弟子がつき、簡単な工程を
担当するようになりますが、それは職人の指導のもとにおこなわれます。

道具が近代的かそうでないかに関わらず、基本的には一人の製作家と
制作物が緊密な関係にあり、量産することを目的としない、
そんなものづくりのあり方を、美術では「工芸」と呼んでいます。

「デザイン」という領域は、大量生産を前提としています。
同じ精度、同じ品質の造形物を制作することで、
多くの人により安く、より良いものを還元することが目的なのです。

デザイナは生産物の原型となるモデル(プロトタイプ)をつくります。
職人たちは、原型を元にして、部分を担当制作することになります。
したがって、複数の職人によって一つのモノが制作される。

一品制作を前提とする「工芸」、大量生産を前提とする「デザイン」、
このあたりに「ハンドメイド」を読み解く鍵がありそうです。

つづく。