アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

工場製麺の革命、セルフおかだ。

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昨年、讃岐うどん界で最大の話題となったお店、「セルフおかだ@丸亀市飯野町」です。なにがそんなに話題なんかというと、このお店は宇多津の超行列有名店「おか泉」のお土産用うどんを生産する工場に併設されたセルフ店なんですね。で、そのうどんが工場生産とは思えないほど「美味い」というんです。

さて、ここでちょっと説明が必要ですね。有名店には店舗内で乾麺や半生のお土産用うどんを置いている店が少なくありません。また、高速道路のSAやネット販売、都内のアンテナショップなどでも有名店のうどんを売っています。そうしたうどんを消費者は「そのお店で作ったうどん」と錯覚していますが、別の製麺所がお店とライセンス契約して製造していると考えた方が良い。

で、「おか泉」は店舗のうどんは手打ち、お土産用うどんは自社の工場で製造している。さらにその工場の生麺を使ったセルフ店を工場に併設した、というわけ。

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地元の人に向けた店舗ということで、平日のみの営業です。これが、いつ行っても駐車場が満杯、回転は速くてもなかなか行列が途切れない。今回、平日に帰省することになり、行ってみましたよ。

駐車場も空きが二台分ほど、あやうく駐車待ちになるところでした。駐車場の制約でちょうど店内に行列ができるところで調整されてますので、店内ではそんなに待たされません。

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「かけ並(1.5玉)麺そのまま270円」これがすげー美味い!口中に吸い付くような麺の表面と中心部分に噛みしめがあるコシ。これは確かに讃岐うどん界を賑わすだけのことはある。手打ちの一級の店とは当然方向が違うので比較にはなりませんが、まず、セントラルキッチン方式のチェーン店の麺とはレベルが違う。恐るべし、うどんにかける情熱!

 

 

 

1000円ステーキ重、本みやけ。

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11月の三連休は大阪出張。島根から高速バスで四時間半、折角の三連休も起きてる時間の三分の一は、バスの中でゲームをやっていたことになる。いかんいかん、そんなことを考えるとむなしくなるので、楽しいことを考えよう。

ってことで、初日は阪急梅田の到着時間が14時。遅めの昼食を行列店でいただきましたよ。「本みやけ阪急三番街店@大阪市北区」です。こちらの人気メニューは、見目麗しいレアに焼かれたステーキ重。これが1000円というコスパ最高の一品。

ランチタイムを大きく外れたこの時間にも行列!どんだけ人気やねん。

ご飯の大盛りや肉の大盛りメニューもあるらしいんですが、そこは初日の昼食だから、オーソドックスに並でまとめました。サラダ、漬け物、熱々のお味噌汁が運ばれ、最後にどーんとお重が到着します。

もうね、たまらん。肉の甘みと醤油ダレが白飯と相まって、無口にひたすら味わうよね。一本の焼きシシトウは味変に最高、大切にかじります。

赤身のお肉はアブラ少なめの美味しい肉。ボリュームがすごそうに見えるけど、斜めに削ぎ切りしてるからグラム数はそう多くない。それがまた、ご飯を巻いて調度良い食べ口。

これはな、行列になるわ。また来たいもん。

 

鳥取東部の人気店、中富。

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松江から鳥取市内まで自動車2時間。日帰り出張だと僕的には限界の距離です。僕、1日に4時間の運転でヘロヘロになるんよ。

で、せっかくですから、ラーメン食べたい。前から気になってる「中富@鳥取市南安長」です。鮮魚卸市場の場内という立地がそそるよね。

12時にお店に到着すると、店内に待ち客数名。しばし待ってカウンターに促されると、すかさず「醤油らーめん650円」を注文。

このラーメンね、品川のイレブンフーズっていう取材拒否の有名店(惜しまれつつ閉店)にならって、キクラゲや玉ねぎの賽の目、ワカメなどの特長的な具材を使っているらしいんだけど、味の方向性は違う。

後口のすっきりしたスープは毎日食べられる味。これは近くにあると嬉しいラーメン屋さんです。妙齢の女性二人が切り盛りするお店は、子ども連れにも優しい接客。

鳥取砂丘まで自動車で14分。セットならさらに満足度アップに間違いない。

煮干そば、麺や心楽。

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初秋の休日、法事で岡山に帰省しました。その翌日、岡山県立美術館に寄り道をします。山﨑努・樹木希林主演「モリのいる場所」のモデル、洋画家・熊谷守一の企画展。

朝イチで入館したものだから、見終えたのが10時過ぎ。島根に移動する前にラーメンの一杯も食べておきたかったんだが、この時間では…。と、検索に一件のラーメン屋さんがヒット。朝6時から営業の「麺や心楽@岡山市北区丸の内」です。

美術館から南に10分少々歩いて店前に到着すると、煮干しの香りが漏れてきます。このお店、香川の名店「はまんど」の大将(うどん通には麺通団の「盛の大将」として知られる)がプライベートブランドとしてオープンさせた「浜堂ラーメン」の岡山店としてスタート。ところが、早々に一旦閉店し店名を変えて再出発したと聞いています。

朝6時から10時まではコスパの高い「朝煮干しそば」が頂けるのですが、10時を過ぎると通常メニューに移行します。僕は迷わず「煮干そば、平打麺」を注文。

仕上がりのラーメンはこの美しさ!スープの一口目はすごいよ。ドンと煮干の香りと旨味が襲来します。煮干の苦手な人にはやや強いか、と思うほどの讃岐調整ですが、なんのなんの、二口目からは澄んだスープのキレの良さと旨味を実感して、口に運ぶ手が止まらなくなる。

平打麺の茹で加減もよく、中華麺をうどんの方向へ特徴づけた十分な腰と喉越しが味わえます。しばらく食べ進めたら一味唐辛子を投入。これがまた、スープをキュッと引き締めて最高にあう。

はまんどラーメンに出会ったときの驚きを思い出させてくれる、良い仕上がりのラーメンでした。


香川うどん論争が勃発したらしい件

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9月中旬、『麺通団団長「気分が悪い」、「丸亀製麺」めぐり〝香川うどん論争〟が勃発』というYahoo!ニュースが掲載されました。まあ、その界隈で以前からくすぶっていた不満がワッと記事になり、追っかけ記事も出ています、という話。

麺通団団長「気分が悪い」、「丸亀製麺」めぐり“香川うどん論争”が勃発(AbemaTIMES) - Yahoo!ニュース

まず、論争に口火を切ったかたちの麺通団団長・田尾和俊さん(四国学院大学)は、タウン情報誌の編集長時代に「ゲリラうどん通ごっこ(単行本化の際に『恐るべきさぬきうどん』に改称)」のコラム連載を始め、平成4年頃から続く「讃岐うどん巡礼」ブームの火付け役になります。このあたりの顛末が映画「UDON」(2006)の元ネタになってます。

麺通団それ自体は、その後、讃岐うどんを全国に知らしめるうどん店として企業展開していますから、当初の「うどん好きが集まった客のプロ集団」とは変容しています。問題はその公式ブログの団長日記(2019年9月14日記事)に、「丸亀製麺讃岐うどんの歴史を間違って発信している」とする記事が掲載されたのです。

麺通団公式ウェブサイト

田尾さんは丸亀製麺の業態モデルはどちらかというと肯定的に捉えているので、別に全否定しているわけではないのよ。ただ、一時低迷した集客の起爆剤として「ここのうどんは生きている」などというコピーで、「各店舗での製麺だから美味い」というイメージを押しつけ始めた。

田尾さんとしては、素人が各店舗で機械的に作るなら、優秀な職人がセントラルキッチンで作る方が美味い、という論理で正面衝突したんですね。『秘密のケンミンSHOW』や『チコちゃんに叱られる』が相次いで放送した間違った讃岐うどんの歴史についても、丸亀製麺のロジックが原因の一つと指摘している。

で、丸亀製麺に良い感情を持っていなかった県民が、別の文脈で文句を言い始めた(もしくはマスコミが香川県民vs丸亀製麺という対立構造を作った)。要するに、丸亀製麺香川県とは全く関係が無いのに、〝さぬき〟を謳って商売しているのは倫理的にどうなんか、という根本的な感情が吹き出して、話題がすり替えられてしまったんです。

比較的冷静に報じた日経ビジネスの記事も、やっぱり「香川と関係ないから県民に嫌われている丸亀製麺だが、意外に丸亀市は怒っていない」という話になっていて、田尾さんの議論とは別次元の報道になっている。

丸亀製麺巡る論争、地元組合は「問題は同社以下のうどんが多いこと」:日経ビジネス電子版

県民vs丸亀製麺の路線で報じる記事はやっぱり作りやすいし、破竹の勢いの企業にツッコみやすいもんね。と、いうことで、まとめサイトまで出来る始末。

ネットで注目!「丸亀製麺」めぐる“香川うどん論争”に様々な声 - NAVER まとめ

僕としては、派生してしまった県民レベルの感情論と田尾さんが問題にしている「企業ロジックを正当化するために歴史が書き換えられる」ことへの問題は、キッチリと切り分けて論じるべき、というスタンスです。

田尾さんは「自分たちがブームを作った、というのはおこがましいので、基本的には黙っていたんだが、ブームから20年以上経過すると歪曲して伝える人たちが現れ、そのうち間違った歴史が本当になってしまいそうだ」として、「さぬきうどん未来遺産プロジェクト」を2015年から立ち上げている。お店や職人に地道なインタビューをおこなって、証言をアーカイブ化しようというもの。バックアップしているのは、高松市に一号店がある「はなまるうどん」で、このあたりが丸亀製麺と競合する所以でもあるんですが、やっていることは至極まっとうだなと感じます。

www.sanukiudon-mirai.jp

 

 

魅惑の自家製麺、こちょうらん はなれ屋

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全国展開するチェーン店「新和歌山ラーメンばり馬」が閉店し、おんなじメニューで「濃超乱@松江市学園」が営業開始。そこから南に1㎞程度のところに、「こちょうらん はなれ屋 晴れのち鶏@松江市学園南」がオープン。よくわからない展開である。

さらにこの「はなれ屋」は平日は夜のみ営業で、夜はお家で酒飲んで寝るタイプの僕にはなかなかハードルが高い店だったのね。

で、ある日店の前を通りかかったらランチタイムに暖簾が出てたので、行ってみました。お店のポイントは、「濃超乱」の味の組み立て(ということは「ばり馬」の味の組み立て)を基本に、鶏の比重を高くして、チャーシューも香ばしく焼いた皮付きのトリ、自家製麺で差別化しようという感じ。

で、つけ麺用の自家製麺というのが、やや平打ちの極ちぢれ麺。これは美味い!いいぞ、はなれ屋!

つけ出汁はとろりと濃厚、この中にもトリチャーシューのコマ切れが投入されていて、「鶏食ってるなー僕」と思い知らされる満足度。麺の持ち上げがすごいので、食べ終わる頃にはつけ出汁もほぼ胃袋のなか。

ランチタイムは白飯サービスなので、大食漢はつけ出汁にライス投入すると間違いないだろう。

 

 

倉敷の家系、成瀬家。

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家系ラーメン好きな僕が、実家近くに家系の店が出来たと聞いて、放っておけるわけがない、のでアール。

行ってきましたよ、「成瀬家@岡山県都窪郡早島町」。住所で書けば、どこやねんって感じですが、山陽道から瀬戸中央道に入って早島インターを岡山方面へ降りてすぐ、といえば分かり良いでしょ?

開店早々、行ってきました。ら、すでに店内で立ち待ち状態!みんな、家系好きなのね。

で、ラーメンにライス付けて、ほぼオジヤ状態にして完食してる兄ちゃんを観察しながら、「それだよなーそれだよ、君ィ」と背後から心で応援しております。「僕はなあ、それはもうできんけどなぁ」と遠い目も忘れない。

美味いっす。美味いよ、成瀬家。僕はオーソドックスなラーメンで、ライスは我慢しましたが、良いラーメンだったぜ!

10代の胃袋と今の財布を同時に持つことの許されない、人生とは。