アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

塗装面のキズのはなし

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1995年製のコリングスOM2H。そこそこ傷もついている。

コリングスのギターは、初期モノとそれ以降に分けられる。初期モノは、シリアルナンバー1000番までと簡単にいうこともある。たぶん年代的には1993年から1994年に製造されたものだろう。

ただ、これは「1000」というある意味キリ番的な根拠の薄い数字なんだとおもう。

コリングスが工場の規模を少しだけ拡張して、生産ラインに変化が出たのが1996年あたりのことで、その前後に塗装の質が大きく変わった。中古市場を見張っていると、1000番に限らず、旧工程の塗装に人気があるようだ。

現在のコリングス(の通常モデル)では、UV塗装を施している。

紫外線で硬化する速乾性の塗装で、膜面がうすく、硬く仕上がる。廉価版のギターに施されるポリウレタン塗装とはちがう。ポリウレタンは膜面が厚く、傷がつきにくい反面、ギターの鳴りを少なからず押さえてしまう。

僕のOM2Hは、旧塗装のラッカーフィニッシュ。膜面が薄いので、傷はつきやすく、鳴りは良い。

左写真はトップとブリッジの接着部分。塗装が少しだけめくれているのがわかります。これはですね、コリングスの初期モノに比較的多くみられる塗装のめくれです。

ギターにラッカーを施してから、ブリッジの位置を決め、接着部分の塗装を剥がす工程で発生しているんだろうと想像できます。UV化した最近のコリングスにはみられません。。。。

ラッカー塗装がすごいと思うのは、まるで生きているように変化すること。

写真右上は、これは結構ショックだったんですが、トップをぶつけてしまった傷です。「味覚党かんろ飴」にヒビが入ったように塗装面が白くなってしまいました。。。ところが現在では、ほとんど見えない!

写真右下は15フレット付近の弾き傷です。これも最初は琥珀色の傷で目立ちましたが、今はその部分がすこし黒ずんだ程度になっています。。。。ラッカー塗装って少々の傷なら、経年変化で目立たなくなっていきます。

バイオリンの名器ストラディバリの秘密は、塗装の製法にアリ、などといわれます。やっぱり塗装はバカにできないなと思います。コリングスも、ぜひラッカー塗装を復活して欲しいんだけどなあ。。。