アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

ギターのヒビ割れvol.1

アコギ本体のヒビ割れほど心配なものはありません。
でも、ちょっと待って。ヒビ割れにも2種類あるんです。

一つは、塗装面のヒビ割れ。
チェッキングとか、ウェザーチェック、チェッカー・クラックと呼ばれます。

これはラッカーで塗装されたギター特有のヒビ割れです。
ラッカー塗装は、一度に厚く塗るとちぢみが出てしまいます。したがって、薄く塗っては研ぎ、
薄く塗っては研ぎを繰り返して厚みをつくる手間のかかる塗装です。それによって、ギター本
体の振動を極力妨げない、薄い塗膜面を作り出すことができるのです。

高額なギターは、振動を重視するためにラッカー塗装を多用します。しかし、塗装面が薄い=
振動を抑制しないということは、反面、塗装としては堅牢でないという欠点もあるわけです。

チェッキングは、板の急激な収縮・拡大に、塗膜が耐えられずにヒビ割れが起きる現象です。

チェッキングは、ラッカー塗装のギターにのみ見られるものです。ポリウレタン塗装は、一度に
仕上げてもちぢみが発生しないので、低価格帯のギターに使用されます。塗膜も堅牢でヒビ割れ
は起きません。そのぶん、板の振動を抑制する傾向にあるといえます。

1970~80年代の国産ギターは、一部のカスタムや個人製作家を除き、ほとんどポリウレタン塗装
で仕上げられています。そのため、国産オールドにはチェッキングはなく、多少曇っていても、
塗膜は綺麗なまま維持されているのです。

もう一つのヒビ割れ。クラックとか板割れと呼ばれます。

文字通り、木材の部分に割れが発生しているものです。原因として最も多いのは、外的な要因に
よるもの。すなわち、落とす、ぶつける、叩く、といったこと。
つぎに、急激な収縮・拡大に板自体が対応できなくて、割れてしまうもの。

塗装割れでとどまって板自体に割れが進行していないものもあります。が、この場合もチェッキ
ングとは呼べず、クラックと呼びます。ポリ塗装の割れやラッカー塗装でも割れの中央に打痕が
ある場合などです。これらはチェッキングとは異なり、板自体に負荷がかかっている可能性があ
ります。

このようにチェッキングとクラックは区別されます。次回はチェッキングとその対策です。