アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

誰かが死ぬ予感

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今回の話は、たぶん心霊現象ではなくて、第六感とか野性的感覚といったほうが
納得できる体験だと思う。これまで、基本的には真面目に体験談を記しているのだが、
根っから芸人体質なので、笑い話におとしてしまっているようだ。
そんななかでも、今回はわりとマジだぜ。

大学4年生のある日の夕刻、僕は予感にとらわれていた。
事の起こりといえば、いつもはストイックで学生には厳しい僕の指導教官が、
その日の午後から異様に優しくて、普段は絶対に見せない教官の研究業績や、
高価な製図道具をくれるなどというありえない状況が思い当たる。

うれしかったり、持ち上げられて恥ずかしかったりするときに、
胸の上のあたりが重くなるというか、胸が詰まるって状態になるよね。
最初はそういう状態だったんだよ。

だから、指導教官が優しくて、僕はのぼせちゃったんだろうと思っていた。

ところが、教官が帰宅して、後輩達と近くの喫茶で夕食をすませた7時頃、
何かに急かされる感覚、自分が何かしなけりゃいけないという思いに変化した。

その感覚は、いつのまにか「誰かが死ぬ」という予感になった。

こんな感覚を覚えたのは初めてだった。
このときの焦りや、いてもたってもいられないという思いは、きわめて漠然としたものなのだが、
「誰かが死ぬ」ということだけは、もう決まっている事実のように思われた。

午後10時頃、僕は実家に電話した。
誰かが死ぬよ、なんつー縁起でもない電話をするのも気が引けるので、
「みんな、元気? 調子の悪い人、おらんか?」というのが精一杯だった。

電話のついでに翌日は朝一の授業だったので、
おかんに午前8時に電話して起こしてくれるよう頼んだ。

朝、電話の音で目が覚めた。めずらしく妹だった。

妹「兄ちゃん、起きた?」
僕「ああ」
妹「あのな、婆ちゃんが今朝の4時頃死んだじゃ。かあちゃんはもう行っとるけど、
  明後日お葬式じゃけん、帰ってきてな」
僕「ああ」

昨日の予感から考えれば、えらくショッキングな電話だったはずだが、
僕にはふつうのことに思えた。婆ちゃんだったのか、と納得した。

僕が予感にとらわれていた頃、婆ちゃんはピンピンしていた。
夜中の2時頃に心臓の発作が起きて、ニトロ系の薬がどうしても見つからず、
搬送先の病院で亡くなった。だから婆ちゃんの幽霊が別れを言いに来たとかいう話とは違う。

虫の知らせ、というのかな。結構、ハッキリした感覚でしたよ。