アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

弦を張り替えるタイミング

アコギのメンテ、基本中の基本は弦の交換だと思う。

僕がギターに興味を持った中高生の頃、つまり昭和40年代に生まれたおっさん達が高校生の頃、
誰も使わなくなったクラシックギターを押し入れの中から発掘することも珍しくありませんでした。
我々の父や叔父さん世代の「禁じられた遊び」ブームの影響です。

そのせいか、ギターの弦というものはえらく長持ちで、何年も張りっぱなしでOKという、
とんでもないイメージを持っていたんですよね。
で、今でもたま~に初心者のかたが「どのくらいの頻度で張り替えるべきですか?」と質問されます。
そんなとき、僕はこのように答えています。


僕的結論:「1ヶ月に1度を基本にして、人前で弾くときにはその前日に張り替える」


そもそもアコギ(ここでは鉄弦ギターのことね)の弦は、どのような生涯を歩むのでしょうか。
1)張り替え30分から2時間の弦
  張ったばかりの弦の音は良くいえばキラキラ、悪くいえばギラギラしています。
  ギター本体の振動音よりも弦の音ばかりが気になる状況、いわゆる「弦鳴り」の段階です。
  人によって好き嫌いがある時間帯です。好きな人はライブなどで頻繁に弦交換するんでし
  ょうね。さほど鳴らないギターが鳴ってるように聞こえる「宝物のような時間帯」なので、
  僕は結構好きです。

2)張り替え2時間から1日の弦
  弦鳴りが少し収まって、音が落ち着き始める時間帯です。それでも3日程度は新品弦の初々
  しい音は残りますので、弦の特性とギターの相性がつかみやすい時間帯かもしれません。
  1日程度たった弦は、きらびやかさを残しつつ、消音やタッチなどのコントロールがしやす
  くなるので、人前で弾くときにはこのくらいの時間帯が僕は良いと思います。
  多少チューニングが甘いギターでも、1日置けば落ち着きます。

3)張り替え1週間の弦
  弦自体の金属が疲労して音が悪くなることはほとんどないです。鳴りが悪くなるのは、弦に
  付着するアカやサビによるもの。数日で数本のライブをこなしたり、弾いた後に拭かずにサ
  ビがでたり、手に汗をかきやすいプレイヤーであったりと、条件によって状態は異なります。
  あくまで僕の場合ですが、この時間帯が最も安定して、ギター自体の音が鳴っていると思い
  ます。
  ちなみにギター自体があまり鳴っていない個体の場合、この時間帯で極端に鳴らなくなったと
  感じることがあります。逆にヴィンテージなどで鳴っている個体は、このあたりで音がマイル
  ドに感じられることがあります。弦の特性よりも「箱」の音がするのだと思います。

4)張り替え4週間の弦
  徐々に音が死んでいきます。世の中には「死んだ弦の音が好き」という人もいますから、好
  みの問題です。きらびやかさはなくなり、音が詰まった感じになります。このくらいの時間
  帯になると、弦の汚れやサビも激しくなり、ボディやネックの汚れも気になりますから、掃
  除がてら弦交換するタイミングです。

5)1ヶ月以降の弦
  お小遣いをやりくりしている学生・生徒のみなさんは「切れるまで弾く」という人もいます
  よね。僕もそうでした。それも悪くないと思います。
  弦を張り替えないからといって、ギターに悪影響はありません。


僕にとってギターは、人に聞かせるための道具ではなく、自分がある一時、気持ちよくなる
ための道具です。ですから、その瞬間のために多少もったいなくても、1ヶ月に一度は交換
して、良い状態に整えておきたいのです。