アコギな雑感

麺とアコギをこよなく愛するデザイナーのブログ

二郎インスパイアの塩らぁめん、現進。

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今年の8月末に開店して人気の「めん家 現進@松江市学園」です。ブルゾンちえみが学生時代に通ったという「浜ちゃん食堂」の2階。店に入ると右手の券売機で食券を購入し、満席ならその先の腰掛けに一列になって待ちます。お昼ど真ん中なら、ほぼ待つことになる人気のお店。

二郎インスパイア系の「今を粋ろ島大前店」が突然閉店し、その大将が厨房に立っているので、ファンがそのまま移動している感じ。市内には二郎っぽいラーメンを出す店が他にないから、そういった大食い需要を一気にかっさらっている様子です。

主な客層が男子学生で安定している点でも珍しい。麺の量が150g、200g、300gと選べる満足感。野菜を増していくチャレンジ精神をくすぐるシステム。野菜を山ほど食って、尋常じゃないアブラを摂取している罪悪感を薄める不思議。学生にとって分かりやすい脂中心の旨み構成。同じ値段なら学生はこちらを選べ!という、振り切った方針。そこまでやると、学生客がちゃんと並ぶんですね。

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しっかり天地返ししてチャーシューをスープで温めると、食べ進める頃にはホロホロに柔らかいお肉がいただけるのも魅力。僕は50歳を超えて健康に気を使うようになりましたんで、麺の量は150g。野菜2倍、あぶら少なめ、からめをコール。平打ちのパスタのような剛麺は、やみつきになりますよ。

 

 

塩一本勝負、ラーメン長さん。

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松江市の特徴的なラーメンといえば、動物系の出汁に塩(白醤油)ダレをあわせた「塩ラーメン」が「昔ながら」の一系統として根付いています。「ラーメン長さん@松江市上乃木」は、そういったオールドスタイルの塩をグレードアップして提供するお店。

このお店は昼時ともなれば、相席、立ち待ち当たり前の人気店で、ラーメンフリークから子ども連れまで、広い層に愛されている。

ここまで人気なら多店舗展開でも上手くいきそうなものなんですが、商売って本当に難しいですね。頑固一徹塩ラーメン(旧名称)の頃を含めて、いくつかの支店を出しては撤退を繰り返しています。

松江はもともと和蕎麦文化の町ですから、オールドスタイルのラーメンは競争の少ない中で生き残ってきた印象が否めない。県外で修行した個人専門店が増えては、やはり同じ価格での勝負は正直、厳しい。それは店の問題と言うより、軽食として扱われていたラーメンを、料理人たちがしのぎを削って作るラーメンと同等の価格で出せるか、という根本的な話。

他の昔ながら系、たとえば「をっちゃんらーめん」や「みちくさ」あたりは比較的安い価格帯でオールドスタイルを提供しています。「ラーメン長さん」は幾度かの価格改定で専門店並みにし、その分、出汁を改善してグレードの高い塩ラーメンを提供しています。最近はしっかり出汁の旨みで納得させるラーメンになっていると思います。

自家製のニンニク味噌などで味変して楽しめるようになっていて、僕も以前はよく使っていたのですが、最近は入れるまでもなくスープを楽しみながら完食していますよ。

 

肉ワンタン3個入り、かつみ。

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巡回コースの一角、「かつみ@松江市学園」です。島根大学に近いっちゃあ近いんですが、客層はサラリーマンやシニアな方々で定着しています。

島根大学周辺は言わずと知れた松江のラーメン激戦区。定点観測していますとね、まず学生客を見込んだお店は、あまりうまくいかない。学生向けの展開には余程の工夫がないと難しいのが、端から見ていてよく分かります。

近年の大学は授業時間数が厳密に決められていて、昼休みの時間が十分にとれません。だから、コンビニは混んでも、周辺のラーメン屋さんが大賑わいとはなかなかいかない。さらに春休みや夏休みの期間は、それこそ一ヶ月に亘って学生数が激減するので、そういった経営計画を立てていないと半年で店じまい、というのも珍しくない。

だから、島大周辺の激戦区は学生以外の客をいかに呼び込むかが、勝負になるんです。

その点、かつみは最初から学生客をあてにしていない、大人の喜ぶ渋いメニューで勝負しています。この「肉ワンタン3個入り」の支那そばに、テーブルの一味唐辛子をチャッとかけて、ズルッといくと複雑な味わいと、脂分を控えた切れの良いコクに舌が小躍りします。

定休日を何度か変更しているので、月曜日と火曜日は調べて行くのが吉。

 

20年ぶりの秘境、谷川米穀店。

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平日に帰省して行列店を巡る最後のお店。今年一杯で閉店する谷川製麺所を出て、「じゃあ、谷川つながりで米穀店行ってみよう!」と腹をくくりました。

「谷川米穀店@仲多度郡まんのう町」です。高松市の南部のど田舎から、さらに徳島県との県境を目指して山道を40分。讃岐うどんブームの怪しいうどん店をけん引した〝米穀店〟という名のうどん屋。20年ぶりの再訪です。

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平日のこの山奥で、未だに行列が絶えない恐るべきうどん屋。いくつかのブームを乗り越えて苦労したんでしょうねー。うどん以外は店内撮影お断りや、行列のルールなどとても厳しくなってます。

うどんは本当に瑞々しい。しなやかで綺麗な麺。優しいお母さんの手肌のようなうどん。そこに醤油を回し、青唐辛子をつけて楽しむ。

讃岐うどんイノベーションも進んでいるから、麺のレベルが高い店は沢山あります。でも、このシチュエーションのうどんを維持してるのは、奇跡なんでしょうね。



閉店まで一ヶ月、谷川製麺所。

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「谷川製麺所@高松市東植田町」、これまで色々と情報を聞きつつ未訪だった怪しいうどん店。今年の春に「後継者不足ゆえ年内一杯で閉店」と公表され、残り一ヶ月というところで訪問しましたよ。

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平成4年あたりの讃岐うどんブーム。怪しい製麺所の発見がポイントだったんだけど、その後、そうした製麺所は「飲食店」としての体裁を整えていきました。田舎の納屋のようなスペースでうどんを食べさせていた店も、そうした風情を残しながら、駐車場や客の動線、メニューの合理化を進めてきています。

そういう意味で、この谷川製麺所は全くの手付かずだったんです。

高松市のドがつく田舎、讃岐うどんのメッカから外れた東讃など、ブームに乗り切れない立地。ところが、怪しさでは令和一だぜ。おいら、久しぶりに「これヤベー。マジ、農機具を置く土間やん」と震えたもん。20年前の「がもう」や「山内」、坂出の「山下」の衝撃が蘇るわ。

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この店の怪しさはそれだけやないで。

一玉150円のうどんを受け取ったら、客が寸胴から出汁を掛けるんよね。これが「しっぽく」っていう讃岐の郷土料理で、本来は冬の風物だけど、ここでは一年通して食べられる。冬場はイノシシの肉が入るのも怪しさ増しのポイント。

もう一つのポイントは、寸胴から具入りの出汁をよそうのは客。山ほど具を入れることも可能だが、後の客を思えば忖度が必要になる。そんな善意を問われるうどんなのだ。

あなたが落としたオノは、この金のオノですか?

そんな、怪しい讃岐うどんの本質を持ったこの店が、年内に閉店するんです。行っておいて損にはなりませんよ!

 

 

 

イイダコ天に癒やされる、うどんバカ一代。

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5年ほど前まで帰省した際の朝うどんと言えばここ、「うどんバカ一代@高松市多賀町」が定番でした。ところが、あれよあれよという間に超人気店となり、県外客の多い休日には行列が大通りまで続く観光地と化してしまいました。ファンとしては喜ばしい反面、食べにいけない複雑な心境ではあります。

さてこの日、平日の朝9時過ぎと言うこともあって、裏の駐車場にも余裕があり、久しぶりに堪能することが出来ました。「かけ小、麺そのまま」とそこに一つだけ残っていたイイダコ天。その絵面がいいのよ。絵に描いたようなかわいいタコのビジュアル。こいつ、僕に喰われるために残っていたんだと運命を感じて、すかさずゲット。

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着席して、チャッと七味をかけ、ズッといく。ああ、美味いわ。

エッジの立ったシュッとした麺、絶妙な口中での抵抗感。出汁は、記憶のものよりやや塩分高め。旨み抜群で満足度も高い。一玉のボリュームがあるので、天ぷら一つ取れば十分満足できます。

で、イイダコ天。足から喰って、癒やされるわ〜。ご多分に漏れず、イイダコと良いながらイイ(卵が飯粒に似ていることから付けられた名称)は入っていませんが、タコの旨みは得した気分になりますよ。最後は出汁に浸してパクッと完食。ごちそうさまでした。

 

讃岐最硬極太麺、根ッ子うどん。

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讃岐うどんブームの初期に発見された店のなかで、まだ未訪のお店がありました。「ジャングルの中で食べるうどん」で人気の「根ッ子うどん@仲多度郡多度津町」です。「映える」という言葉が生まれる前から、ある意味、写真映えするうどん店として名を馳せています。

田んぼの中に突然現れるガラス張りの温室。店名が書かれているので「うどん屋」と分かるんですが、見た目はどう見ても「農家に併設された、しかもあんまり手入れされていない温室」。この店のうどんが「食べログの百名店」に2018年と2019年、連続して選出されてるんだから、寄っておきたいのはうどん馬鹿のサガ。

冷たいぶっかけの小とイワシフライをお会計して、いざ温室へ!

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うーん、これは紛う事なき温室。屋外よりも屋外感のあるビジュアル。「なにかの温室栽培よりうどんの方が儲けが出るので、潰しちゃって客席にしつつ、とりあえず植物も植えておこう」ってなし崩し的にやっていたら、後から追っかけてきたスーパー銭湯みたいなビジュアルになっちゃった。そんな感じ(笑)。

で、うどん。

どっひゃー、硬い!太い!モグモグ噛まないと喉を通りません。すごいな、これ。今の讃岐うどんの流行の対極を行く、オールドスタイルの最右翼。口コミ情報で「冷たく締めた麺はゴムのよう」と表現されていましたが、ゴムはゴムでもタイヤか!って突っ込み入れるほどの麺でございます。

うどんはよく噛むと甘みが生まれるのですが、うどん好きはのど越しを重視するのであまり噛まない。ところがここまで太くて硬いと強制的に噛まされる。すると、小麦の香りや甘みがしっかり感じられる。昔の田舎麺は咀嚼回数を増やして、満腹中枢を刺激していたのかも知れない。

いやーすごいもん食べた。ちなみにイワシフライにかじりついたら、こちらもバリンバリンに硬くて、笑いが出た。そういえば、「日本一硬いお菓子」として有名な「熊岡菓子店@善通寺市善通寺町」が近いから、昔から硬い食感が好きな地域性もあるのかもしれない。