閉店まで一ヶ月、谷川製麺所。
「谷川製麺所@高松市東植田町」、これまで色々と情報を聞きつつ未訪だった怪しいうどん店。今年の春に「後継者不足ゆえ年内一杯で閉店」と公表され、残り一ヶ月というところで訪問しましたよ。
平成4年あたりの讃岐うどんブーム。怪しい製麺所の発見がポイントだったんだけど、その後、そうした製麺所は「飲食店」としての体裁を整えていきました。田舎の納屋のようなスペースでうどんを食べさせていた店も、そうした風情を残しながら、駐車場や客の動線、メニューの合理化を進めてきています。
そういう意味で、この谷川製麺所は全くの手付かずだったんです。
高松市のドがつく田舎、讃岐うどんのメッカから外れた東讃など、ブームに乗り切れない立地。ところが、怪しさでは令和一だぜ。おいら、久しぶりに「これヤベー。マジ、農機具を置く土間やん」と震えたもん。20年前の「がもう」や「山内」、坂出の「山下」の衝撃が蘇るわ。
この店の怪しさはそれだけやないで。
一玉150円のうどんを受け取ったら、客が寸胴から出汁を掛けるんよね。これが「しっぽく」っていう讃岐の郷土料理で、本来は冬の風物だけど、ここでは一年通して食べられる。冬場はイノシシの肉が入るのも怪しさ増しのポイント。
もう一つのポイントは、寸胴から具入りの出汁をよそうのは客。山ほど具を入れることも可能だが、後の客を思えば忖度が必要になる。そんな善意を問われるうどんなのだ。
あなたが落としたオノは、この金のオノですか?
そんな、怪しい讃岐うどんの本質を持ったこの店が、年内に閉店するんです。行っておいて損にはなりませんよ!